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2016年11月18日 (金)

676海里の非日常 (5/5) 旅先の感傷

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日本海と太平洋を合わせて676海里(1,240km)の船旅も、苫小牧港を定刻19:00出港で後半が始まった。
すぐ近くが新千歳空港だからひっきりなしに頭上を飛び交う航空機を眺めながら、この北の大地での旅程を思い出していた。ここから90kmほど北にある日本海に面した小樽港に降り立ったのはわずか60時間前なのだ。そんな事を思い返していると港の明かりがゆっくりと動きだす。目の前の漆黒の闇が少しずつ広さを増して、ついさっきまで自分が居た街や港の灯りを、どこか遠くの島のような眺めのようにゆっくりと変わってゆく。
他の交通機関と違って遮るものが何もないから、どんどん小さくなって、それこそ見えなくなるまでが別れの時間なのだろう。
そんな時にふと昔の歌詞が浮かんだ。
『あなたが船を選んだのは私への思いやりだったのでしょうか 別れのテープは切れるものだとなぜ気付かなかったのでしょうか・・・』
船尾にはだいぶ小さくなった灯りをずっと眺めている人が数人程いたけれど、それぞれにドラマがあるのだろうか。
『まるで昨日と同じ海に波を残して、あなたを乗せた船が小さくなってゆく』・・・か。
この大地との別れにせよ、人との別れにせよ、船という乗り物はけして早すぎない、ちょうど良い速さで距離を空けていってくれる乗り物なのかも知れない。
やれやれ、初めて体験した夜の船出というものは旅の情緒と重なり、僕を少しだけ感傷的な気分にしてしまったようだ。

 

少し寒くなってきたのでロビーに戻って明日の天気を確かめる。
晴天が約束された今夜の航海は、翌朝午前三時に鳴り出したモーニングコールと、星座も良く分らないほどの満天の星空から第二部がスタートした。

 

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