« さくらの花が咲く頃 | トップページ | 今日此頃 »

2016年5月 4日 (水)

立夏の候

160403

 

桜花も終わると人々の注意はひととき鮮やかな新緑に向けられるようになる。
木々が芽吹いたばかりの”新緑”という色彩は、実に多彩なバリエーションをもっていて、濡れたように光る緑もあれば、白い産毛を纏ったような柔らかな緑もあるといった具合だ。最近僕の許へ舞い降りた”日本の伝統色を愉しむ”という絵本にも緑の名前が書いてある。そこにはパラパラと見ただけでも日本の伝統色として、若草色・萌木色・柳色・若竹色・山葵色などの美しい日本語が並んでいる。緑の濃さも足並みが大方そろう梅雨入りの頃までは、もう暫くは様々な色彩の緑を愉しめる季節が続きそうだ。

   
日本の四季は明確で、またそれに敏感な国民性からだろうか、季節の移り変わりを表現する日本語ならではのいろんな言い廻しがある。
おそらく明確なルールはないのだろうけれど、けっこう気を使ったりするものだ。季節の先がけを表す”はしり”や、その時期に入った事を表す”めく”などもそのひとつ。夏のはしりとか冬のはしりとかはよく言うけれど、春のはしりとか秋のはしりとかはあま聞かないない。春めくにしてもおなじように、秋めくとは言うけれど、夏めくとか冬めくとはあまり聞いた事がない。それに、季節の冒頭に接頭語的に付ける”初”とか”真”は夏と冬だけだし、”晩”は春とか秋にしか使わない。

 

梅雨という四季ではない気象現象に、"はしり"という言葉をくっつけて使う"梅雨のはしり"という表現が好きだ。
それはちょうど梅雨という時期に入ったか、まだなのか、その微妙な境目で穀雨のようにしとしとと降る、穏やかでやわらかな雨が好きになったという他愛もない理由からだったりするのだけど。これから梅雨までの期間限定で、昔人の感性が生み出した風薫という爽やかな風がシャツの袖を撫ぜ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

|

« さくらの花が咲く頃 | トップページ | 今日此頃 »

好きなこと・好きなもの」カテゴリの記事