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2015年8月 8日 (土)

Wind from the North 番外編  ( 土地の風土と気候が醸すもの )

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旅には人それぞれ違う楽しみ方があるけれど、そこに共通しているのは『美味しいものを食べる』という事にたぶん異論はないと思う。
とかく地名などから浮かんでくるメジャーな名物とか名産ももちろん食べてみるけど、僕は何故かその土地で作られた発酵食品の類にも興味を魅かれてしまう。それらは味噌や醤油、漬物やチーズ、地酒の類なのだけど、その土地ならではの気候・湿度の中で流れる時間が生み出すおいしさは、単に素材を合わせただけでは叶わない不思議な滋味を持っているもの。

 

ここの看板である三陸の魚介類を食べながらメニューを眺めていて、僕は願ってもないものを見つけてしまった。
それは南部味噌蔵遊びと南部漬物遊びいう何とも粋なネーミングの二品で、それぞれ5種類の味噌と6種類の漬物が愉しめるものだ。きっと僕のように店の看板に何かを感じ、木戸をくぐる欲張りな人も多い事だろう。県内各地から集められた地酒の種類もさることながらこの店名、よくぞ名付けたりと感心してしまった。一人旅のエトランゼと知ってか知らずか、運んで来てくれた人がいろいろと親切に説明してくれる。その中で一番ビックリしたのが、5種類の味噌のうち、3種類が日本酒の醸造元(つまり酒蔵)で作られていることだった。所変わればなんとかで、僕の地方ではまずは聞かない話だったから。
あとは醤油かと思い店の人に訊いてみると醤油トマトがあると言われた。一瞬、エッ!と思い聞き返すとトマトに醤油をつけて食べるようで、この地方では極々スタンダードな食べ方らしい。僕にしてみれば全くその味が想像できない新手の食べ方で、これはシメとして体験しな訳にはいかなかった。

 

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程なく運ばれてきた醤油トマト。
恐るおそる醤油に浸し、口に入れてみて素直に思ったのは”あっ旨い!これもアリだなぁ~”と言う事。もちろん普段の醤油を想像していた僕をあっさりと裏切ったのは、この只物ではない醤油だった。
いや今思い返してみると、あの濃厚な風味は醤油とはまったく別物のたまりではなかったのだろうか。トマトと青背魚のマッチングも悪くないように、微かに感じた魚醤のような影はいったい何だったのだろうかと、いまさらながら疑問が膨らむ。そういえばこの街周辺には味噌と醤油を作っている、小さな醤油店が結構あるのだと教えてくれたっけ。
今やネットでのお取り寄せがごく当たり前のご時世で、全国はおろか世界中の品物がクリックひとつで簡単に手に入る時代。その中でおそらく生産者の意向だろうか、その波に乗ることなく現在に至るという逸品に今まで数多く出会う事ができた。もちろんこれも僕なりに旅の愉しみのひとつなのだけど。

 

地元客の聞き慣れないお国言葉が時おり微かに聞こえてくると、けっこう遠くにきたのだなぁという気分にさせられる。
今日のリストを思い返しながらまた来年あたり、それも違う季節に再びここに座るのもいいなとボンヤリと考えていた。

 

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この店は出発する週に見つけた店だけど、偶然にもそのひと月前に予約した宿からほんの100m程の場所にあった。この店は他に支店はないらしいのだけど、いくら銀行の隣だとはいえ岩手銀行隣店というネーミングもなかなかシャレが利いている。

開店の時間を少し過ぎた頃に店に着いた僕は、看板の灯りがともっていない事に気が付いた。”日曜日モヤッテヲリマス”の筈なのにと思った途端、奥から店長と思しき人が出てきてようやく営業開始のスゥイッチが入る。それから彼に案内されるがまま低い木戸口をくぐり、そこで僕が口開けの客だという事に気がついた。それが飲食店にとっては縁起の良い客だという事を、若い頃に一杯飲み屋のオヤジさんに聞いた事があった。そんな訳でもないだろうけれど、案内されたのはコの字型の炉端席の正面中央の席だった。まだ客の気配のないしんとした長台に、懐石盆が整然と並ぶのを見るのは気持ちの良いもの。そして彼は僕がエトランゼであり、口開けの客だという事で少し気を使ってくれたのかも知れない。何故ならば毎日実演しているというさんさ踊りを正面、目の前で見る事が出来た席だったから。

 

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-立 秋- 
 
初めて秋の気
立つがゆへば也
 
暦便覧より
 
名ばかりの秋が来るかと思う連日の猛暑の中

 

昨日とは違う風にハッ!としたのが、偶然にも立秋である今朝の事
  

 

  この西から吹く心地良い風を”極楽の余り風”と呼んでいたらしい

 

昔人は随分と粋な表現で風を感じていたのだろう

 

 

 

 

 

 

岩手さんさ踊りも週の初めで終わってしまった

 

そうそう・・・

 

掛け声の”サッコラ”というのは”幸呼来”と書き
  幸せを呼び込む掛け声なのだということを教えてくれたのは
僕の目の前で太鼓をたたいていた彼

 

 

 

 

春と夏との境目に思いついて
それにいろんな偶然も重なり
僕なりの奥の細道を愉しめた2015-夏だった。

 

 

 

 

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