« まるで 昨日のことのやうに (Ⅵ)  | トップページ | Wind from the North 2/3  ( into は イーハトーヴ ) »

2015年7月 6日 (月)

Wind from the North 1/3  (ずっと待っていた夏)

15070100r

この町は松尾芭蕉が奥の細道で辿った北限の地であり、いままで隣県の山形在住である僕にとっても北限の町だった。

この大きな道の駅(愛称ねむの丘)に来る理由は単純に二つあって、一つはこれから向かう鳥海ブルーラインの秋田側の入口がこの町にあること。そしてもうひとつはこの景色を眺めながら、これもお気に入りの眺海丼という至福の昼メシのためなのだ。
今年この場所に立ったのはいつもとは季節が違う五月の連休明けの頃。
いつもなら昼メシを食べ終えるとやにわに出発するのだけど、今回はすこし場内を散策してみたくなった。それはまだ少しだけ若いというか、真夏の磯場特有の濃厚さをわずかに含んだような海風が心地良かったから。
  

山形の最南端の街に住む僕は、先ほど最北端の町を通過してすぐのこの場所は、秋田の最南端なのだということをずっと忘れていた。道の駅にだったらどこにでもある観光案内板をよくよく眺めて”あっ!”っと思った。
ここから田沢湖が近くだったことにそのとき初めて気が付いた。天気予報の全国地図には猪苗代湖と十和田湖がいつも見えるのでその位置関係は把握できているけど、それには描かれないちっちゃな田沢湖の近くまでいつも来ていたのだ。今日はブルーラインを止めにして田沢湖に向かおうかと一瞬まよったけれど湖の標高を考えればやはり夏まで待とうと思いとどまったのだ。

 

同じ県内だという錯覚からか、さほど遠い場所とは思っていなかったこのねむの丘。
改めてトリップメーターを見てみると最南端である僕の街からここまでは200km弱の距離。それを南に振れば福島県を通り越して、栃木県の宇都宮市だったり、茨城県の水戸市だったりする。僕が苦痛に感じない一日あたりの最大移動距離は500km程だからいままで何も感じなかったのだろう。それはさておき田沢湖への道は行きと帰り、同じ道を通らない条件でざっと計算すると550~600km程。一日で廻れない距離ではないけれど、せっかくみずうみを一周する道路もあることだし、時間をもう少し欲しいと考えた僕の選択は、休日を二日に分けること。つまり休前日の仕事が終わったならばすぐに盛岡入りして、ビジネスホテルに泊まれば翌日の移動距離は半分になるし、滞在時間も十分に取れる算段なのだった。

 

三十年ぶりの盛岡。
下旬には連休があるから込み合うその前に出かけよう。ここから3時間ほどの道のりは曜日の関係で通行料金もだいぶ安くなるから、そのぶん晩メシは少し豪勢にいけるかも知れない。開運橋と天気次第だけど山容の美しい岩手山にも会えるだろうか。そうだ仙台にも支店があったあのクラフト店ものぞいてみたいし、せっかくだから途中の小岩井農場ではあの懐かしい牛乳も飲んでみたい。そんな事を考えていると小学生の夏休みのようなワクワクする一週間となるのだろう。
田沢湖の姫に会ったならそのまま西に向かってこの日本海の姫とも再会して戻ってこよう。なんのことはない夏限定のふっくらプリプリ、ビックリするほど大きな岩牡蠣にありつきたいという下心が丸見えだったりする。
どうやら秋田の姫は水辺がお好きなようだ。

15070102

 

 

鳥海山は海岸線からごく自然つづく稜線が美しい独立峰で両県、それも特に海岸沿いに住む人たちにとってはまさにランドマーク的な存在に違いないだろう。そこは地球が球体であることを感じさせる水平線と、わずか30kmほのの沖合にポツンと浮かぶ飛島を俯瞰で眺められる好きな場所。三年前、飛島から見た夕日に染まる鳥海山の美しさをいつも思い出す。山全体が赤く染まり、しばらくの時間をおいて海岸線から
舞台緞帳を下から引くように紅色が引いてゆくさまは時間を忘れるほど美しかった。

 

***

***

***

***

***

***

|

« まるで 昨日のことのやうに (Ⅵ)  | トップページ | Wind from the North 2/3  ( into は イーハトーヴ ) »

好きなこと・好きなもの」カテゴリの記事