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2015年7月20日 (月)

Wind from the North 2/3  ( into は イーハトーヴ )

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「万障お繰り合わせの上・・・・・」というのはあくまでも能動的な事なのだけど、稀にそれが受動的に実現してしまう事がある。
最初に描いていた出発日の構成はといえば、仕事を終えて出発したら少し急いで20時前にはなんとかチェックインしよう。そしたらまずは汗を流しゆっくり晩メシでも食べに出ようというものだった。それが仕事の都合で昼には出発できるようになったのが前々日の事。その時真っ先に心に浮かんだのは、春先にラヂオから流れてきた花巻の宮沢賢治記念館のことだった。確か30年振りぐらいのリニューアルオープンが4月だと言っていたのを思い出した。
花巻から盛岡までは30分程。
まぁ遠野までは無理にしても記念館をゆっくり見ても、けっこう日差しが高いうちに盛岡に入る事ができると踏んだ僕は、わずかな昼メシの時間すら移動のために充てる事などなんとも思わない性格だったりする。最寄りのETCレーンをくぐった時にチラッと時計を見て浮かんで来たのは100分という数字。この感覚は若い頃からのもので、ちゃんとスケールの載っている地図の2地点を見ただけで所要時間が見えてしまう
ヘンなクセのようなもの。この動物的とも言える根拠のない直感が以外と正確で、誰かと出かけた時など到着推定時刻が大した誤差もなく当たるのでよくビックリされる。これには後方からロックオンされる事がない暗黙的な巡航速度を維持する、という前提で出てくる数字なのだけど。

 

たまたま居合わせた団体客に何気なくくっついて、ガイドの話を聞くことが出来たのはラッキーな事だった。
そんな中で素敵な土地柄だなぁと思ったのは、ボランティアガイド然り、館内設置のビデオガイド然り、職員の人たちすべてが、まるで親戚か近所のオジさんのような親しみを込めて”賢治さん”と呼んでいたこと。そして記念館を見て歩いて知った事は、僕は賢治さんの何も知らなかったのだという事実だった。彼の文学しか知らなかった僕にとっては本当にカルチャーショックを受けた世界だったし、宇宙、音楽、農業(土質・肥料)、少年期の鉱物収集など彼が興味を惹かれた事も僕と重なるので実に楽しい時間だった。そして展示を見終えて目にした『人生は総合芸術』という賢治さんの言葉。それはまさに彼の人生そのもので素晴らしい表現だと思った。

 

銀河鉄道の夜が書かれた背景にあったのは夜の北上川だった事を知り、地図で探したら偶然にもインターに戻る途中にあった。
真夏の午後、強い日差しの中を流れる川面をボンヤリ眺めていると、なぜか少年時代の夏休みが想い出されてくる。その時すごい金属音でハッ!と我にかえると車輪を出して着陸態勢に入ったジェット機が、風圧を感じそうな高さで頭上を通りすぎて行く。僕は記念館の事ばかり考えていて、ここが花巻空港のすぐそばなのだという事をすっかり忘れていた。イギリス海岸の真上を超低空で飛ぶ旅客機。もしも賢治さんがこれを目にしたのなら、好奇心旺盛だったようなのですぐにでも乘ってみたいと言い出したに違いない。

 

 

 

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材木町の通りには昔なかった賢治さんとセロのブロンズがあった。
市内に入って真っ先に向かったこのセンスが良いクラフト店だ。盛岡と言えばこの店が思い浮かぶ程に僕の中ではイメージの繋がりが強い店。仙台店の外観も趣きがあって良いのだけど、なんといってもこの本店の中庭が好きだ。店舗に隣接した数メートル程の煉瓦張りの路地には以前と同じ小洒落たベンチが置いてあり、奥へと続くこの雰囲気がまた良いのだ。この場所は、ある意味おもての通りと時間から隔離されたような雰囲気があって、店側もここをどれだけ大切にしているかが窺える。それは出発前に眺めてみた当時と全く同じアングルであるこの絵の中で、違っていたのは中央の大きな甕だけだったから。

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