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2014年12月10日 (水)

北からのエトランゼ (3/3)

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ポール・セロー
 
 

誰が言ったか忘れたけれど。『見知らぬ土地で目を覚ますのはこの世で最も心地良い感覚の一つである』という俚諺があった。
僕の場合は旅先での行動半径や時間などの自由度を考えると、特別の事情がない限りは大方くるまを使うことになる。目的地までは好奇心のレーダー感度を最大限に上げたなら、分からずやなナビとのケンカしながらの移動は心地よい疲れとなり、その土地の食べ物とアルコールと共に心地よい良質な睡眠を約束してくれるのだ。

   
そんな充実した睡眠のお陰だろうか。
これもビックされるのだけど、旅先での僕は夜明け前のまだ薄暗い時間に自然と目が覚めてしまう。そして愉しみというか習慣と言えば地図を片手に、ほぼ彷徨いに近いものだろうけれど朝の散歩。まだ人通りがほとんどない早朝の知らない街を歩く気分はまさにエトランゼそのもので、大通りもいいのだけどやはり路地裏が楽しい。なぜならばそこには住む人たちの生活感があり、いろいろなおもしろい物や人に出会えるから。そして路地裏をまっすぐ進んだり、曲がってみたりとあてもなく続く朝の散歩。
また来るかも知れないし、もう二度と訪れることもないその路地や人々の生活感との一期一会。それは同じ場所と環境で暮らし続けていると、とかく陥りそうな自分の狭い価値観とケチな思い込みで閉鎖されがちな井の蛙へと、世の中といふ外気を送り込んでくれる唯一のそして良い機会なのだ。

 

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