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2014年6月15日 (日)

明治のかをり

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広大な敷地に江戸中期から明治までの古民家が移築されたこの公園は、好きな場所のひとつ。
茅葺の屋根や人がよく歩く部分が少しヘ凹んでいる土間にむき出しの束石など、いまではまずお目にかかれない懐かしい光景に会える場所。それに母屋に隣接した馬小屋や車井戸なども配置されていて家の内部には鍋釜や竈、農耕器具に、今時は時代劇でしかお目にかかれない絣のうすっぺらな布団など、当時の質素な生活を窺わせるものが展示品として置いてある。面白いのはそれらがたったいままで使っていたかのように展示されていて、この園の素晴らしいところは入口や縁側から中をのぞいて見学するのではなく(もちろんそれもできるけど)、土間にはいったならそこで靴をぬいで家の中に上がって、実際にそのノスタルジアな空間に身を置くことができること。

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いちばん道路から遠く隔離された奥まった場所に建っている芝居小屋。
平日、それも早い時間なのでここまでの道のりで人に会うこともなかった。入り口の土間で靴をぬぎ、備え付けのスリッパへと履き替えるとチケット(木戸札と席札)を買う窓口を通り劇場内へ。普段は上席である左右の高い桟敷席への立ち入りは出来ないので、枡席の一番後ろに腰を下ろしてみる。そこで僕を待っていたのはそれこそ”しん”という言葉すらそぐわない静寂。そんな中で右手人差指で押し込んだボタンの発する音はReverb(残響)も感じる程の大きなものだった。入り口の解説板によるとこの芝居小屋・・・侮るなかれで、回り舞台でその床下には奈落があり、花道・ぶどう棚・ちょぼ席など芝居小屋として必要なものはひと通り備えているらしい。この芝居小屋では同県で有名な桧枝岐歌舞伎や、近隣の街の神楽や獅子舞などの無形文化財も上演していると書かれていた。
そんな事を思いながらひとり、静寂の中でこの松羽目をながめていると、この小屋が繁華を誇ったころの観衆の拍手・喝采が聞こえてきそうだ。

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