三冬の水 (2/7) : つぶ雪
○月○日
電線に切りさかれる風の音で目が覚める。久しぶりの風雪模様・・・それよりもこの地方では吹雪と云ったほうがしっくりくるだろう。雨にしても雪にしてもそこに風が加わる事で厳しさが増すけれど、人にも様々な表情や側面があるようにこれも、三冬のみずがもっている表情の一つ。雪の粒どうしがぶつかって更に細かい粒子へと変わってゆく様は、わずか数メートル先の輪郭すら不明瞭にしてしまう程のベビーパウダーの風となる。そんな風のお陰で冬の水は様々な造形を残してくれる。上から降り積もるだけではあまり入り込めない杉林の中でさえ、やすやすと吹き抜けてゆく季節風が残してゆくもの。それは一本いっぽんの木々に残された三角形の細長い盾。その一番尖った方向こそが季節風の通り道。荒れ狂うだけではなくてたまに一瞬だけ青空が広がり、日差しが降り注ぐ時がある。その美しさに会えるから厳しい吹雪もまた一興と思える。
僕が子供の頃は『窓雪三日』と言って、窓に雪が付くほどの厳しい吹雪は本当に三日程続いた記憶がある。でもここ十数年は荒れても1日程で済んでしまう。やはり気候は少しずつ変わって来ているのかも知れない。
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