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2013年7月31日 (水)

會津のSoul。  と大きく出てみたけれど、 実は・・・

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この南の街は各シーズンごとに、なぜか手綱が向いてしまう好きな場所だ。
ちょうど2年と4ヶ月の事。繁華街の国道を通過するだけだった街の裏路地に、好奇心から意図的に迷い込んでみたのが始まりだった。後で知ったのだけど、偶然そこが今ではすっかりお気に入りになってしまった、野口英世通りと大町通りなのだった。
いつもの事だけど知らない街の路地を歩いていて、角にくるたびそこを曲がるかまっすぐ進むか迷う。角を曲がってみようと決めたときは、もしその先に何もなければまたここへ帰ってくればいいと思って曲がる。そして二度と戻らないこともあったし、またそこに帰ってくることもあった。なんとなく人の人生に似ているような気がする。   

初めて間近に見る赤瓦はそれはまた見事なものだ。
せっかく明治以前の姿である赤瓦へと、葺き替える工事が終わるとほぼ同時に、観光の目玉と言えるこの城館をも揺さぶったのが震災だった。幸いハードウェアの被害はなかったと聞いたけれど、観光資源が豊富なこの街がそれからたどっていったのは、人間が神の火を粗略に扱って被害を蒙った県であったという風評だった。ドキュメンタリーなどで度々報道された通りに、本当に見ていて気の毒なものがあった。けれども地元の人たちのそんな憂鬱を一気に吹き飛ばしてくれたのは例の大河ドラマだ。平日の様子しか分らないけれど人出は昨年とは比較にならない程に増えている。

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僕がこの街に会いにくる主な目的と好きなもの。 それが見ていて飽きない町並みとカツ丼だ。
この地方で普通に言うそれは、トンカツを卵と玉葱でとじた一般的なものではなくて、ソースカツ丼の事だと知ったのはつい2年前の事。
太さが店によって少し違う程度で、味やトッピングが比較的安定している(想像がつく)麺類とは違い、これがなかなか侮れない。基本はホカホカご飯の上にキャベツの千切りを敷いて、最後にソースをからめたトンカツが乗るのだけど。店によって使う肉の部位や切り方。それに重量、
特にソースタレに至ってはユーザーにとって一番の重要事項だろう。その他普通のカツ丼のようにソースタレで煮込んだものもまであるらしい。それらを知り尽くしている地元の人は良いのだけど、僕のようなたまに訪れるよそ者にとってはパンフで見ていくのなら想像もつくのだけど、それがなければどんなものが出てくるのかさっぱり分らないという楽しみもあったりする。箸でカツとキャベツの厚さを確認したなら、この三層構造の小宇宙をどう攻略するかを考えるのもこれまた楽し・・・なのだ。
   
   
   

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13070502この美しい赤瓦の絵を見ていたら、先日テレビからいきなり耳に飛び込んできたある職人の話を思い出した。
それは”仕事を作業にしないこと”というものだった。その言葉に瞬時に反応したのは、僕自身がそうなりかけていたのかも知れない。普段めったにテレビを見る事のない僕がメモをとりながら夢中で見入ってしまった。仕事への探求心を失えば、単なる作業になる。日々同じ仕事に変わらぬ集中力を注げるか・・など、僕がいつも再確認しなければならない事をたくさん思い出させてくれた。
そして彼は最後にこんなことを言っていた。
若い頃は無我夢中でやっていた(たぶん今の僕)、けれど今は何かを振り返りながら仕事をしているんだ・・・と。

誰が見ても完璧に仕上げられたその仕事ぶり。
けれど自身の採点は80点。彼曰く、合格点には達しているがまだまだ先があるという。”もういいや、と言ったとたんにお迎えが来ちゃうよ”そう言って明るく笑った笑顔には、とても85歳とは思えない生き生きとした職人魂が見えていた。祭りが仕事より大好きな生粋の江戸っ子職人に、僕もこんな風に齢(よわひ)を重ねる事を目標にしなければと、思わせられた。

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