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2013年5月 6日 (月)

桜の頃 (2/3)

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免許証の更新講習があったつい先日、それは予報とはうらはらのぬけるような青空の朝だった。
この日のついでにと残しておいた用足しもあったので、小回りの利くバイク(自転車)で出かけるつもりでいた。けれども出がけに西風に乗って来た雨の匂いを感じて、結局は足を変えて正解だった。いつも途中で大きく事情が変わる最近の予報は、珍しくこの日に限っては正確だったから。

午后の仕事の都合もあったので少し早めの昼飯。
その店で帰り際に偶然目にしたのが、雨雫の付いた窓ガラスだった。それを見つけた時ふと心の奥に、何かひっかかるような感覚を感じていた。同じ雨という外の光景でも、水滴の付いたガラス越しの方が、ふと子供のころ外で遊べなかった沈んだ記憶も浮かんできたりと、より情感が深い。店から持ち帰った水滴のイメージは、まるであてのない週末の楽しみのように、それが何なのかという確信さを欠きながら、しばらくのあいだ心の中に存在し続けていた。
  

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何が引っかかっていたのかと、煩悶としていた時に普段の飲み物のおかげかもしれないけれど、ようやくその二つが繋がる時がやってきた。
それは現像もすることなく放置された一枚の桜の絵の事だった。いまごろになって整理整頓の重要性に気づいてもすでに遅く、探すのにはけっこう気骨が折れる作業だったけれど、なんとか未現像の”素のデータ”に再会することができた。その絵はまぎれもなく雨粒のガラス越しに切り取った、たった1枚の雨に濡れたカノジョのポートレートだった。

人とは実にげんきんなもので、晴れた日は美しいと桜を眺めるが、雨降りともなると足元の方が気になるのか花を見上げる人はごく少ない。
きっと僕自身もそうだったに違いない、カノジョと会うまでは。隣町に出かけた時に、降るはずのない雨に会い、偶然近くまで来ていた従兄の経営するオフィスに転がり込んだ。温かい珈琲をご馳走になりながら、窓のすぐ傍で何か動いた気配に目を向けると、それは春の雨でしっとりと濡れた桜だった。その時はただ美しいとは思ったけれど、現像される事もなくその絵は倉庫の中で、白雪姫のように眠りつづけていた事になる。
 

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雨に濡れたからこそ見つけたその美しさ。
それを損なわないように慎重に、記憶を辿りながら現像作業を進める。それは僕にとってまるで王子にでもなったような気分の作業だった。けれどカノジョの持っている素顔の艶色を、見た時の美しいままここに表現できているかは、すこしだけ自信がない。

 
 

この曲の原タイトルは"Just The Way You Are" というのだけど
やはり日本語に訳されていた昔のアルバムを見慣れているからか
この和訳ほうがシックリとくる世代だ。

当時のアルバムには
彼の若くはつらつとした歌声が収録されているけれど
人生という時間を積んでより円熟した
今のビリーの歌声の方が僕には心地よい。



素顔のままで   ビリージョエル

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  Appendix:桜の頃 (2/3)

  
  
今年の花咲く頃はずいぶんと冷え込んだ日が続いたこと

お蔭で春祭りに昨年同様満開が重なってちょうど良かったこと


ようやく昨日辺りから気温も上がりお気に入りのアイラを片手に

ひとりのんびりと公園で読書と洒落こめたのは
桜吹雪が舞うもう5月5日の事だったこと。

 

  

  

   
  
  
 

 

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