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2012年5月 5日 (土)

Sakura の頃 (2/3)

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この場所のSakuraを眺めることが大好きになったのは、もう6年ほど前の事になる。
ちょうど通りとここの間には杉を多量に含んだ雑木林があって、見通しのきく落葉の季節とはいえ、車はこの見事な桜に気付く事なく通り過ぎてゆく。その通りからその雑木林沿いに細いまがりくねった砂利道を100mほど進むと、きっと地元の人くらいしか知らない、この小さな児童公園がある。
ここに通じる道は農道と兼用のようになっていて、通りから入ってすぐの第一コーナーにはちょっとしたウェルカム・アトラクションがあったりするのだ。通り慣れた地元の人や僕は自転車だから気にならないのだけれど、よそ者ドライバーの腕が少しだけ試される、ちょうど自動車教習所のS字コースのようにW=1.7・R=1.9のといったかなりタイトなコースだ。

***

今年のSakuraは昨年より遅くにほころび始めて、去年より早くパッと散ってしまった。
気象的な事情がいろいろあったようだけれど、ほんとに見ごろと言えたのはわずか2日程だった。きっと休日がこの時間に合わなかった人は、非常に残念な思いをしたことだろう。けれどもSakuraはこの地方にとんでもない天変地異でも起こらない限り、きっと来年も咲いてくれるので、あとは自分の休日に合うように祈るだけだ。
僕がここに向ったのは、諸々の雑用を済ませた午後3時を回った頃だっただろうか。
お気に入りの5オンスのスキットルにアイラを満たすと、書斎から4㌔程にあるこの場所に自転車で10分程かけてやってきた。
Sakuraの観かたは人それぞれあると思うけれど、出がけに玄関に転がっていた景品かなにかのレジャーシートをポケットにねじ込んできていた僕は、生まれて初めて(たぶん)幹の根元に寝そべって地面からの視線で花を眺めていた。
落陽に向って青い背景の比率が少しづつ増してゆくのを感じながら、昨年のおなじ季節の事を思い出していた。それは花の下で3冊の本を読んだことだった。その中の一冊にJ.TanizakiのInei_raisannという随想があり、それがこのログのタイトルを変えるきっかけになったのだけれど。

そんな事を考えながら少し眠気を感じていた僕は、遠いむかしに経験した授業中の居眠りのように、きっとほんの数分だけれど確かに眠ってしまったのかも知れない。いつの間にか先ほどまでブランコと滑り台で遊んでいた親子の姿もなく、静かになった公園で耳に入る音は鳥の声だけだ。

目の前に広がる花達はほとんど青くなった背景の中で、それは美しいコントラストを奏でていた。視点を定めずにボンヤリ眺めていると、花を見ているのとは少し違った奇妙な感覚になっていた。それは目の前に広がる光景がいったい花なのか、星なのか・・・それはどこまでが夢(妄想)でどこからが現なのかすらの区別もよく判らなくなってしまいそうなものだった。

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そんなウトウトした感覚の中でフト浮かんできた単語が”夢寝見”だった。
これは随分とむかしの陽水の曲で、今では歌詞すら思い出せないけれども、曲のなかで”夢寝見”と彼は何度も囁いていた。この調子だとたぶん来年の今ごろもログの名前が変わるのかも知れない。



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< 光彩 銀河 >
山形県米沢市

  
   
陽もだいぶ傾いてきた頃、背中が冷えてきたので起き上ると、不意にこの光景に出くわしてしまった。それを見たときに何か遠い遠い記憶の底に引っかかるものがあって、その場では想い出すことが出来なかったけれど、この絵をいろいとといじっているうちにようやく繋がった。

あれは小学校低学年の頃だったろうか? いや、それよりも少し後だったかもしれない。それは当時住んでいた家の(今はもうないけれど)二階の西窓の光景だった。その時僕は風邪かなにかで熱を出していた。すごく体が熱くて苦しくて、ウトウトしては目を覚ます事を繰り返していた。夕方近くに部屋の奥の布団にまで届く西日に気が付き体を起して見たのがこれと同じ光景だった。その時は少し風がある日で、花びら越しの日差しがキラキラ揺れていた。それだけをじっと見ていると宇宙に茫漠と広がる銀河を見ているような気になったのを覚えている。そのイメージが長いあいだ僕の意識下に残っていたようだ。
けれどもそれをよび醒ましたのはその時一瞬だけ吹き抜けた、 ’12春風のいたずらだったのかも知れない。

***

Desperado < The Eagles >

  
この曲は日本発売仕様でのアルバムタイトルとなった”ならずもの”で、シングルカットされる事はなかった、僕にしてみればまぼろしの曲だ。
以後カーペンターズが”愛は虹の色”という曲名でカヴァーしたりしている。もう30年も前のアルバムだが、今ごろの時期むしょうに聴きたくなる。そう言えばこれがリリースされたのは、薄ピンクの雪がときおり風に舞う今ごろの時期だった。

    

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< Crystal 越しの風景 Ⅰ/Ⅱ >
山形県米沢市

 

   

      

  

   

   

   

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