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2012年4月 1日 (日)

あさきゆめみし ゑひもせす

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ふと気が付くと季節は進み、3月から4月へと時間がながれていた。
前回このログを更新したのは2月末と表示されているから、かれこれひと月も僕は気を失っていたようだ。このひらがなで書いてしまったタイトルは、おそらくご諸兄方にはなじみの深い誦文だと思うが、”浅き夢見じ  酔ひもせず” と漢字交じりで書いた方が現代では一般的なのかも知れない。
この卯月は一番好きな月と以前記したが、それは単に僕が生まれたつきだからだし、なによりも一日には世界的な年中行事もある。

  
  

* at April Fool's Day *

  
僕はタイムマシンなるものに初めて乗った。
その外観は外側には小さなイボイボが無数についたまんまるのカプセルのようなもので、横には小さな三角形の羽根のようなものが付いていた。係員に促されて乗り込んでみると以外に中は狭く、座席を調節してシートベルトをしめるともうほとんど身動きがとれない程だ。

それにジェット機の操縦席のように視界一面に計器やら、ボタンやらスイッチがあると思っていたけれど、目の前にはアイパッドほどのタッチ表示パネルに、あとはいくつかのボタンとダイヤルがあるだけの簡素な内部だ。これで途中トイレに行きたくなったらどうするんだろう? 案内してくれた若い係員に訊ねると、やれやれというような顔をして「乗り込む前に済ませておけば、白亜紀にでも遡らない限り、お客様の生まれた以後でしたら、どんなに遠くまで行ってもほんの2、3分で到着してしまいますから」 ・・・・そうか、それなら安心だ、と納得する。
 
「お客様。あとは先ほどの受付で説明しましたように、ナビゲータに年月日と時刻を入力したあとは<Enter>のボタンを押すだけです。大切なのは帰還の時に年月日を入力しないで必ず<Home>のボタンだけを押してください。そうしないと『現在』に帰れなくなることがあります。そうやって永久に帰って来れなくなってしまう方が2ヵ月に一人はあるんですよ」
そんな話を聞いて僕は、永久に帰れなくなったら何か不都合な事でもあるかなぁ、と一瞬考えてみる。
もう子供たちもある程度大きくなっているし、家族も僕の生命保険が入れば、皆で今よりもっと好きな事ができるだろう。借金もいちおう片がついているし、家に一番最後まで残る二男にはメンテナンスのしかたなど細々とした事も教えてあるし・・・。

そこまで考えて・・・・・    あっ、でもダメだ。  と突然思い出す。
仕事上のスケジュールの一部をすでに7月末までロックしているクライアントが一人いた。ひと月程の問題ならばば本人が消えてしまったでもいいのだけれど、これではその人を裏切る事になってしまう。それだけじゃない。先週留守の時に頼んでおいたアイラを届けてくれたS君にまだ代金を支払っていないし、それにいろいろとお世話になっているG氏に約束したポートレートもまだ途中までだ。このログの更新もしなきゃいけない。それに下着の替えもなければ、いま毎日つけている目薬も持参していない。これではどうも帰って来ない訳にはいかないようだ。

タイムトラベラーのルールでは、いま現在の感情(記憶)は過去に持ち込む事は許されていない。これは結果的に過去を変えない為の国際ルールなのだ。けれどもその時(過去)の感情(思い出とでも言うのだろうか)は未来(現在)へと自由に持ちかえる事は許されていた。

僕はタイムマシンの扉を閉じるとナビゲーターに入力を始める。
【2001年4月22日11時00分】と打ちこんでブルーの<Enter>のボタンをゆっくりと押し込んだ。
  

********************

   
低いうなるようなノイズのあと少しだけ視界がぼやけたような気がしたが、キッチリとその時間に僕は乗換の為に下車した余目駅のホームに立っていた。その日は幼い息子たちと初めて男3人冒険旅行に出かけた日だった。新幹線と在来線3路線を乗り継いで、山形県をほぼ一周するものでいろいろな電車を乗り継いで、駅弁食べるのをずいぶん前から楽しみにしていた。

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< at 2001-04-22 >
山形県村山地方・庄内地方

   
けれども僕には父親とのこんな記憶がない。ちょうど長男が今ごろの年代に他界したからだ。だから長男がその齢になるのに合わせて、3人で出かけたいという想いをずっと持っていた。その日はものすごく天気が良い暖かな日だった。待ち合わせの長い時間を3人で駅前にあった遊園地で遊んで、その日2度目の弁当も食べた。遊具であそぶ息子たちの写真を何枚か撮ると、(上の写真)空腹で飲んだビールが利いたのか滑り台によりかかるとついウトウトしてしまった。

* at April Fool's Day *

  
誰かにゆりおこされてハッと眼が覚める。
目の前に二男がいて、そろそろ出かけようと催促された。そうだ、今日は僕の休日で息子たちも春休みなので、二男の合格祝いに男3人のスペシャルランチを企画していたのだった。
僕はその催促には答えないで、『お前たちも随分大きくなったものだ』と言った。二男には目や口を動かしたりして寝ていたが、なにかおもしろい夢でも見ていたのかと訊かれたが、僕は『あぁ、とっても懐かしい、いい夢だった』とだけ答えてこの話はクローズした。

 
   

目に入れて痛くない子が目にあまる
<詠み人不詳>

なるほど・・・成長の証だろうか、最近の奴らを見てて確かにそう思う。
 

***

昨年の今日にはペアのカップが、夜中にデートにでかけるという楽しげな会話をしていた
                                話を書いていたのを思い出した。 春 色 の 会 話  

  
  
  
   
   
  
  

 

 

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