« まるで 昨日のことのやうに (Ⅰ) | トップページ | 6月の花嫁 »

2011年6月11日 (土)

shadow warrior (影武者)

  

春ごろ僕は記事の中でこんな事を記していた。

昔から世の中には自分と良く似た人が何人かいるとはよく聞く話である。
いずれこのLogに記したいと思っている事があった。
3年程前の事だったが、僕の場合単に似ているというレベルを超越した、知人は言うにおよばず息子すらも見まちがう程、酷似した人がこの同じ市に存在していたという事だった。過去形になったのには理由があった。一度会ってみたいと思っていたが叶わずして話はいつの間にか出なくなっていたのだった。傍から見れば当然どちらも本人なのだが、彼の取るエキセントリックな行動にはずいぶんと苛まれたものだった。
なぜならば50%の確率でその評価がなんの関係もない僕、に降りかかってくるのだから
。“

***

この続きにあたり、僕が一人でスーパーに出入りをするのは、ごく日常的な事であることを記しておかなければならない。
なぜかと言えば『旬』と言えば聞こえがいいが、いわゆるその季節限定の”アテ”を買いに行くのである。その目利きこそ僕にとっては非常に重要な事で、絶対に人任せには出来ないこだわりがあった。例えば最近では蛍烏賊、初鰹などだが、気に入ったものが見つかるまでの2~3軒ハシゴは本当にめずらしくはない。

***

僕がその人物の存在を初めて知ったのは、仕事で関わりのある知人の話だった。
その人がスーパーで夕飯の買い物をしている時に《僕》と会ったのだそうである。そして会釈したそうなのだが、最初は無視されたと思ったと言うのが彼女の話である。顔や髪型は恐ろしい程似ているそうなのだが、その人物との決定的な違いは体型だったと話してくれた。


話を聞いたとたんにここ2~3ヵ月の間で3回ほど体験した、奇妙な事の理由が想像できた。
僕の知人が体験した事を、おそらくその人物の少なくとも三人の知人は体験した事なのだから。変なこともあるものだと思ったが、僕の中ではきっと何かの偶然なのだろうと単純に片づけてしまっていた。
  
奇妙な出来事の舞台は3回ともスーパーの店内だった。
すこし離れた所から誰かが立ち止まってこっちを見ている視線を感じ、フト顔を向けるとご婦人が満面の笑みを浮かべて挨拶してくれるのである。たぶん僕はその視線と笑みを撥ね返すような(あんた・・誰っ?)というような表情をしたのだろう、相手はひどく怪訝そうな顔をしてその場を立ち去っていった。
  
そんなことが、それから半年程の間にあと2回も起きた。
なぜか男性ではなくいずれも、30~40代と思しきご婦人という共通事項があった。そういえば挨拶されるに至る直前のような視線も、其処かしこで何度か感じていた。

    1106022

< 交差点ですれ違う二人の男 >
山形県米沢市
    
  photo by my second son:

信号が青になる。
僕は交差点の手前左側より反対側に渡ろうと、今まさに足を踏み出そうとしていた。
交差点の反対側に立っていたその男も、今まさにこちらに渡ろうとして同じ側の足を踏み出そうとしていた・・・




息子が僕と見間違えた事は前記したが、彼の話によればその人物の乗っていた車は奇しくも、我が家にある一台と同車種&同色だったらしい。おまけに運転していれば胸から下は見えないので判別できなかったのだろう。しかしそこまで一致するとは天文学的な確率だったのではないだろうか。
  
僕自身に特に実害はないのだが、こころの中では困った問題に苛まれていた。
それは彼のエキセントリックな行動がもたらす、周囲からの僕への評価だった。それらは僕が出入りするなどあり得ない場所だったり、変な時間帯だったり、とあるBarカウンターの片隅での言動だったりと実にバラエティーに富んでいた。
そういえば、彼は足を怪我してギブスと松葉杖の時もあったらしい。(整形外科での目撃談らしいが)怪我をしたらしいと仕事場を訪ねてくれた知人が、普通に歩く姿を見て人違いにびっくりしていた。
  

そんな周囲の話から、実際に彼と会ってみたいと思うようになった。
突然降って湧いたようなこの一連の出来事から推察して、転勤か何かでこの地に来たのだろうかとか。きっとご婦人相手の仕事をしているのだろうかとか。いろいろと想像を廻らしながら、僕も手掛かりが欲しくてコンビニの知人とか様々な人に声をかけていた。その時はもうこの地を離れてしまったのか、それから3ヵ月も過ぎたころから話が出なくなってしまっていた。
  
  
  
  
  
  
  
  

|

« まるで 昨日のことのやうに (Ⅰ) | トップページ | 6月の花嫁 »

記憶のFilm」カテゴリの記事