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2011年2月の記事

2011年2月23日 (水)

カフェ・オレの御用達 (with spring incense)

  

そこカフェ・オレ(Café Au Lait)は実に美味しい。
なんでも濃いめに淹れたイタリアンブレンドに、ホットミルクを加えるだけの作業らしいが、そこはプロフェッショナル。
ストレートコーヒーとはまったく趣が異なる絶妙な風味である。

そしてカップを持った僕と偶然に目が合ったのは、柔らかな光の中で控えめに佇むスプリング・イノセンスだった。

   

Caf_au_lait02

< spring  incense >
山形県米沢市

     

真冬の12月下旬~3月に咲く桜がある。
左側の啓翁桜(けいおうざくら)は、この地方でも特にお正月用の飾り花としての人気も高い。そういえばたしか、TBS系の日曜劇場『冬のサクラ』の花でもあるはずである。
何故テレビをほとんど見ないこの僕が知っているのか? とタネあかしをすれば、そのソースはお見舞いのアレンジメントを求めた花屋さんで偶然に見かけたポスターだった。


ここ数日、春のような陽気(日差し)が続いている。
立春も過ぎたのだからあたりまえのような気がするが、この地方では春めいてくるのは通常はまだまだ先の話なのだった。若者が遠方の恋人に1年振りで逢う日を指折り数えながら待ちわびるように、内陸性の冬と言う閉塞された季節に閉じ込められた心は、まだまだ当分先になるだろうが、春先特有のあの少し埃くさい暖かな風が体(頬)の表面を撫ぜて通り過ぎてゆく春の日々を、心待ちにただひたすら待っている。

    

Caf_au_lait01_2

< Favolit Cup vol.5 >

       

上の二つのカップはカフェ・オレの御用達だそうだが、確かにこのカップ達は不思議な魅力を持っていると思う。
カフェオレを薄くした感じの色を持つドイツ製のカップらしいが、棚に並ぶ数多くのカップの中では、その色とディープ・パープルの地味目のプリントのせいか少しくすんでいるように見えてあまり目立たなかった印象があった。

しかし中身をそそいで口に運ぶとそれが単なる僕の誤解だったことを知ってしまった。
口の中に広がる珈琲とやわらかいミルクの風味を感じながら、唇から離したそのカップにゆっくりと目を移す。
すると・・・

そこにあったのはたった今、味覚で感じたのと同じ、
冬の終わりと春の初めが融け合うような、カフェ・オレとカップの穏やかでやわらかい、境界線だった。

   

   

    

   

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2011年2月17日 (木)

わかれ

   
   

それは・・・  
波が少しづつ砂の城を侵食してゆくような穏やかなものもあれば、ショパンの革命エチュードのように、めくるめくような美しい旋律がいきなり激しい終結をむかえるようなものもあるだろう。
わかれとは当然、告げる方と告げられる方があって成立するストーリーであり、よく芸能人の記者会見などで語られる、『合意の上』などと言うのは実に稀と言うか、インパーデブルな事だと思っている。
 そのきっかけとなるものはいつも些細な事であり、伸びすぎた髪がある日を境に急に気になりだすように、フト心の中にちいさく湧き上がって成長していくものなのだろう。
 
僕の少ない経験から言うと、告げる(棄てる)方と、告げられる(棄てられる)方では何倍も後者の方が楽だという事である。
告げられた方はその時は確かに深い絶望感に打ちひしがれて、相手に対するマイナスの感情や自己嫌悪、自分への憐憫とか、そんな様々なものが大きな塊となってその中に飲み込まれ、今にも溺れそうになったりする。
そして傷ついた自分を癒そうと酒を呑んだり、好きな趣味に打ち込んだり、ギャンブルをしたり、旅行をしたりする。
嗚呼、何をしてもますます深い孤独に落ち込んでいくだけなのに・・・
でもそんなことをしているうちに傷は癒えてしまう。
それが1~2ヵ月か1~2年かかるかの違いはあっても、間違いなく時間が解決してくれる。

しかし、(人を)棄てるという事はそんなに生易しいものではないように思う。ひとを傷つけるということは自分が傷つくより遥かに残酷な事だ。
これがお互い憎しみ合って別れるような関係ならばどんなにか楽な事だろう。
こればかりは時間などが解決してくれるものではなく、死ぬまで己がひきずっていかなければならない鎖なのだろう。
 

Last_farewell

< Farewell >
宮城県松島町

 

モノクローム色の海を見ている女性は、少し前まで連れの男性と一緒だった。
なぜそれを知っているかと言えば、彼らがすぐに立ち去ってくれるだろという、身勝手な魂胆で5分だけ待ってみようと、この場に居合わせたからだった。

とくに注視していた訳ではないが二人の会話は少なく、ただ海を見つめている静かな時間が外の冷たく重い空気のように、この空間に広がってゆくのを感じていた。しばらくして二人で軽く握手を交わすと、男性は僕を一瞥する事もなく出て行ってしまった。
ただその時少し気になったのは男性は振り向きもせず、女性は海の方を見たまま見送るそぶりすらみせなかったことだった。
その時の光景は彼らに関する何の事情も知らない僕にすら、一体何がおこったのか十分に理解できるものだった。

立ったまま少しだけ海を見つめていたその人は、縁台にゆっくりと腰をおろした。
『やれやれ・・・』これがその時の正直が僕の心情だった。誰もいないここの絵を手に入れるには、どうやらすこしだけ長期戦になりそうだと、仕方なく時間を潰すために隣の海の見える茶室に移動した。

20分ほどして再び戻るとその人はまだ冬の海を見ていた。けれどその凛とした後ろ姿はうまく表現できないが、先程とは何かが違っていた。
それに魅かれるようにこの絵を切りとったのは縁台から僅か2~3メートル程のところだった。
シャッターの音はストーブの音にかき消される事なく、このしんとしたこの空間に随分と大きくこだましてしまった。

どうしようかと随分迷ったが、結局は液晶モニタでこの絵を見てもらい、手短に加工を加える旨を告げてここへの掲載許可を得ることが出来たのだが、問題はその時見えた目元だった。なんだか僕は見てはいけないものを見てしまったような罪悪感に襲われた。
そしてとっさにブログアドレスの数字をわざと一つ書きちがえて、その人に渡してしまったのだった。

この3ヵ月前の出来事を今まで2度程思い返す事があった。理由はアドレスをわざと書きちがえた悔悟の思いだった。
実際に絵を確認するためのレビューはあくまでも本人の任意であり、なんの事情も知らない僕の勝手な思い込みでその一本の糸を断ち切ってしまったのだから。

この絵がボトルメールのようにWebの世界を漂いながら、何年かの時間を経てこの主人公の許へと流れ着く事を願って止まない。できることなら、少しセピア色に褪色して。 
     

While_good_bye

< 蒼い ひと刹那 >
新潟県新潟市

それとは対照的に再会が約束されている別れもある。

傍目から見ればほんの暫しの別れと思えるかも知れない。でもこの子とご婦人の後ろ姿なり、手がたとえ暫しであれ、別れと言うシーンの心情を物語っているようである。

ここでは『暫し』という寂しさの中で、再会へ向けての嬉しいカウントダウンが始まっていた。

 

   ひと刹那=1/75sec

                      それは蒼いいろに見送られた離陸の瞬間だった。
                      ANA-1659 for OSAKA 15:08 takeoff

                      あと幾つの夜を飛び越えたなら
                      再びこの機影がこのそらに舞い降りるのだろうか。
               

  


<AMAPOLA>を聴きながら  

      
  

   
   

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2011年2月 3日 (木)

春への想ひ Vol.1

      
       

Longed_spring_01

< 風の高原 >
福島県湖南町

                            春になったら
                            風の高原にいこう

                            うえつけ前のキャベツ畑で
                            なの花のなかを
                            やわらかな土をふみしめながら
                            歩いてみよう

                            みずうみの見える場所で
                            おだやかなぬるい風と
                            土のかほりを
                            ほほに感じていよう

                            春になったら
                            風の高原にいこう

                            かえりにはそこから見える
                            みずうみの湖畔で
                            くるまを停めて
                            珈琲と珈竰のかほりを楽しもう

                            明るくあたたかなテラスで
                            シェードオーニング越しの
                            やわらかなひざしに身をゆだね
                            いろいろなことを想ひだしてみよう

Longed_spring_02

< 森の中のCafé >
福島県猪苗代町
   
   
   
   
   
   

   
   
   
   
   
      

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