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2010年11月 9日 (火)

半径1Km圏内 (誰にでもある原風景) Vol.1

   
  

R10000101

< Since 196? >
山形県米沢市

  
この風景との邂逅は、僕が偶然にこの場所に生まれた事だけなのかもしれない。

 

                   Natalie Cole & Nat King Cole            Unforgettableを聴きながら 

現在の住民票には住所を移転した痕跡がない。 
それは、家から351メートルはなれたこの風景を、半世紀近くもずっと眺めているということだ。この橋のたもとには自分の母校(中学校)があり、当時は今の校門のあたりにプールがあったりもした。むろん高校にもこの橋を渡って通学していた。

この川の流れを見ていると何故か心が落ち着く。子供の頃からよく遊んだ川辺だからであろうか、父が他界した幼少期の記憶が甦ったりもする。地理的には遠くに見える、少し丸みを帯びた女性的な山容の山並みが真南にあたる。二千メートル程の稜線だが登ってしまえば案外平坦で、縦走と言うよりは鼻歌交じりのハイキング気分で歩けてしまう連峰だ。そこから西の方への約90度程の間は低いが印象的な稜線が続く。

そらの色も、山頂から色が変わり始める秋の山肌、また麓から色が変わり始める春の山肌。夏至から冬至にかけて大きく変わる太陽が沈む位置などを見る事ができる。自分は季節には至極敏感な方なのだが、その季節感の約66%はこの風景が与えてくれているのかもしれない。残りの34%は空気の肌触りや匂いであったり、店先の並ぶ所謂旬の食べ物であったりする。

この風景も何かの用事で通りすがりの車からの眺めだったり、何かを感じたくて天気の良い日には5分ほどの散歩がてら、わざわざ見に行く事もよくある。そうだ、仕事の都合と天気次第で年に何回も見ることが叶わないショーがある。日没の少し前、ほんの10分程度の短い時間だが、ちょうど左手から照らす夕日が丸みのある山肌の凹凸に影をつくり、実に美しい影絵が目の前に広がるのだ。

この光景は今までも、そしてこれからも変わる事のない眺めだろう。それは手帳が変わっても無条件に引っ越しを許される、裏表紙のポケットに長い間挿まれていた古い写真のように。

    

    

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