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2009年9月 3日 (木)

antiqu and messy (古いと薄汚れた)

先月、富山湾にて『海王丸』と言う一隻の帆船と出会った。
商船学校の練習船として、昭和5年に進水したと言う帆船である。海王丸と言えば確か、初夏の頃だったか朝のNHKニュースで総帆展帆(そうはんてんぱん・帆を全て広げる)を横浜港で中継していたが、どうやらそれは海王丸Ⅱ世だったようである。

かくして、自分の中でその存在すら知りえなかった初代海王丸と、この富山新港にて偶然対面した訳である。

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                           < 海王丸 >
                           富山県射水市

それは海の貴婦人と称されるだけあり、実に美しい船だった。訪れた時は帆は畳んであったが、年10回程開催される総帆展帆はさぞかし見事なものであろう。

艦内を見て回って気がついた事だが、やはり80年前に建造されただけあり決して新しいものではない。だが、その船は人の手によって使い込まれ、そして磨きこまれた美しさを持っていた。

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それはほったらかされて古ぼけたのとは次元が違う、古いがよく手入れの行きとどいた美しい輝きである。この船から巣立った11,000名余りの海の若者達の歴史を知ったのは、訓練生宿泊室に足を踏み入れた時だった。

そこは定員8名程の狭い船室だった。
共用部分(廊下と言うが正しのかは判らないが)の鉄板床とは異なり船室内部は板張りの構造である。その船室に足を一歩踏み入れると足裏に違和感を感じる。

扉を開けて船室に足を踏み入れる第一歩の位置は右足から入ろうと左足から入ろうとそんなに大きくは変わらないらしい。その第一歩の部分がすり減って大きく窪んでいた。ほかの部分から見ると2~3㎝程であろうか。自分ごとで恐縮なのだが、『たぶん酔っ払っていたらヘタすると捻挫するかも?』のレベルである。他にも二段ベットの昇降梯子の下や下段ベットの真ん中部分など、同じ位置に足を着く場所が定員全員が必ず通過する入り口程ではないにしろ、やはりすり減って窪んでいた。廊下から注意して見てみると床が波打っているように見えるが、美しく磨き込まれており、歴史と言う輝きを放っていた。

よくホテルなどの建物でも『古い』と『薄汚れている』は混在されがちで
あるが、それは全く別物である事を再認識させられた日であった。

   

   

   

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